SEになってからちょいちょいこんな質問をされます。
「なんでそんなに忙しいの?」
これに即答できない自分がいます。
理由は色々あるのですが、なにを言ってもピンとこなかったり、伝わらない場面が何度かありました。
時間がとにかく足りない。
その理由を考えてみました。
SEの長時間労働の定例化
IT業界と言うと範囲が広すぎるので、運用やヘルプデスク、インフラはなしでシステム開発に絞って話を進めます。
システム開発の仕事はざっくり言うとこんな流れです。
ユーザのニーズの聞き取り、調査
↓
設計
↓
プログラミング
↓
テスト
↓
納品
この開発に携わっている人たちは、たいてい長時間労働しています。
しかも年々市場価値は低くなる一方で、知的労働者のはずが、ひどいとベルトコンベアーで作業員扱いです。
見えないモノを作る難しさ
ユーザがなぜシステムを導入するかと言うと、作業の効率や品質が向上するからです。
システムは、繰り返し同じ作業をする、データを蓄積して分析することを得意としてます。
例えば、出退勤にピッと読み込むだけで、今月はこのチームの稼動が高いなとか、Aさんは休みを取ってないから有給消化を促進しようとか、分析できるわけですね。
工数が明確になれば予算検討の材料にもなります。
勤怠を記録する手間が省ける上に、蓄積したデータを分析することによって今後の計画を立てやすくなります。
こんな具合にユーザは手間のかかる作業を楽にするため、得をするためにシステム導入を検討します。
しかし、いまいちユーザのニーズがはっきりしない、INPUTとOUTPUTが明確化されていない、となるとそこから整理していかなければなりません。
開発側が、ある程度汎用性のある仕組みを揃えて準備しても、それは技術的な話。
業務まで話を落とし込むとなると0からのスタートになってしまい、手探りで作業を進めなければなりません。
見えないモノを作るには、開発人数を増やすとか開発スキルを高めるとかでは解決できないのです。
仕事が固定メンバーへ集中
機械的に進めることが難しい職種ですから、どうしてもスキルのある人へ仕事が集中してしまいます。
「あの人に頼めばどうにかしてくれる」
こんな流れで仕事が割り振られることもあるわけで。。。
仕事があることはありがたいですが、偏った割り振りは組織として機能していません。
だからと言って適正のない人にムチャ振りしても良いことは一切なく、結果、その人にしかできない仕事になってしまい、誰にもわからない仕事が生まれてしまうのです。
教育時間、費用の確保が困難
じゃあスキルを身につけろって話になるわけですが、人ひとり育てるのにどれだけの費用と時間が必要なのか。
学校ではありませんので、授業割りを作って計画通りに進める教育なんてできません。
しかも教える先生は仕事を抱えてる先輩です。
OJTと言えば聞こえがいいですが、教える側の負担はかなりのものです。
そしてこの先輩、講師研修みたいなのを受けていないのがほとんどです。
と言うことは、先生としては新人になりますよね。
自分が知っているのと人に教えるのとでは別物ですし、思った通りに覚えてくれる後輩ばかりではありません。
10教えて3しか身に付かない人もいるわけで、やはり教育にはそれ相応の時間がかかります。
時間がかかるってことはお金もかかるってことで、企業が教育にかけれるコストと個人の成長度が釣り合わないのが現実です。
PM(プロジェクトマネージャー)が未熟
日本のIT業界は、優れたプログラマーや技術者が出世するするかと言えばそうでもありません。
いちプログラマーよりPMの方が立場が上でお給料も良いです。管理する側が上になるのは世の常。
ですがこのPMと言う立場に誰もがなりたくてなっているわけではありません。
今まで見てきた中では
- 人手が足りない
- 会社の意向で
そんな理由で本人の意思とは関係なくPMになっている人もいました。
人がいなければ入社3年目でなることもあります。
そんな駆け出しが熟練の技術者たちをどうやってまとめるのか・・・
そして希望してPMになる人の中でも、意欲的に勉強してなったのではなく、単なる出世欲のみでなっている人もいます。そういう人はそもそもチームをまとめる気はないので(チームの成功より自分の立ち位置の方が大事だから)やっぱり失敗します。
運悪くそういったPMのチームに入ってしまうと、上手い舵取りができてないものですから、効率良く作業が回らず、結果、手戻りや漏れが発生し長時間労働に繋がっていきます。
本当に残念なことですが、「よろしく」「終わった?」しか言わないようなPMも実際にいるのです。
PMとしてのセンス、学習、意欲は欠かせない要素だと思います。
バント名人にホームランのオーダーしたり、4番バッターばかり集めても優勝できません。
メンバーそれぞれの能力を発揮してこそです。
最後に
長時間労働はやっぱりキツイです。健康を保てません。
特に日本は納期至上主義ですから切羽詰りながら作業することが多く、時間的にも精神的にも余裕がない中で作業するため、潰れてしまう人が多いのも事実です。
余裕がなければ視野はどんどん狭くなり、新しいアイディアも浮かばなければ新しい技術を学ぶ意欲もなくなります。
どうすれば長時間労働から解放されるのか
自由な発想で働けるのか
ゼネコン体質の日本IT文化では、解決にまだまだ時間がかかるでしょう。
今の若い子にはそんな悩みとは無縁の希望に溢れた環境で働いて欲しいと切に願います。