碓氷優佳シリーズ
1作目 『扉は閉ざされたまま』
2作目 『君の望む死に方』
3作目 『彼女が追ってくる』
4作目 『わたしたちが少女と呼ばれていた頃』
5作目 『賛美せよ、と成功は言った』
一部では小説界の名探偵コナンと呼ばれる(?)碓氷優佳の第三弾『彼女が追ってくる』です。
いや、ほんと旅先で出会ったら高確率で殺人事件が起こるよねー(苦笑)
あらすじ
旧知の経営者仲間が集う「箱根会」の夜、中条夏子はかつての親友・黒羽姫乃を殺した。愛した男の命を奪った女の抹殺を自らの使命と信じて。証拠隠滅は完璧。さらに、死体が握る“カフスボタン”が予想外の人物へ疑いを向ける。夏子は完全犯罪を確信した。だが、ゲストの火山学者・碓氷優佳は姫乃が残したメッセージの意味を見逃さなかった。最後に笑う「彼女」は誰か……。
(引用元:Amazon)
今回も最初から犯人がわかっている、犯人目線で語られる倒叙ミステリー。
1作目に引き続き、「また友達を殺すのかよ」って内容です(苦笑)
同じ男性を好きになると色々面倒よね。ボソッ
相関図
今回は総勢9名とちょいと多め。
でも夫婦だったり親子だったり、セットで覚えられる人がいて迷うことはなかったです。
女の敵は女?犯人「中条夏子」の敵
夏子の敵と言えば、まず自分の恋路を邪魔した親友の黒羽姫乃。
「姫乃さえいなければ彼は死ななかった」と信じてる夏子にとって、姫乃は敵でしかない。
そして、あっさり姫乃を殺害。
そして第二の敵・・・か微妙だけど、この人。花村哲子。
姫乃の遺体発見後、すぐに警察へ通報になるかと思いきや、意外にも容疑が花村良太へかかってしまい、良太ママの花村哲子が通報を阻止!
夏子としては
遺体を前にして警察に通報しないってなに?
ってか、そもそもなんで姫乃はカフスボタンを握ってるの?
って感じだったんじゃないかな(苦笑)
あ、でも、良太ママの「通報阻止」という思わぬ行動は、カフスボタンの謎を解く時間稼ぎになったから、結果的には夏子にとって都合が良かったのか。
で、最後はやっぱりこの人。
碓氷優佳。またしても、こいつか。
~中略~
この世で最も質が悪いのは、頭がいいのにポリシーのない奴だ。今回の事件でいえば、優佳がそれに該当する。有罪か無罪か、どちらを支持するのかをはっきりさせてもらわないと、こちらも対応がしにくいではないか。
(引用元:彼女が追ってくる)
夏子さん、心中お察しします。
運がなかったですね。
ここがイマイチ。天才対決はありません。犯人は凡人です
1作目2作目は、優佳と戦う相手が頭脳派で「優佳 vs 天才」の構図だった。
しかし本作では、商才はあるけれど決して天才ではないという印象。
犯人の中条夏子は、ビジネスで成功しているあたり商売の才能はある。
なんだけど、機転がきくとか説得する話術があるとか、そういうのを持ち合わせていない。
素人が頑張って人を殺してみましたって感じ。
そう、頑張ってる感が出ちゃってるんだよね。
本人は至って冷静を装ってるつもりなんだけど、ドジっ子というか、ドジっ子というか、ドジっ子?(笑)
人間っぽくて嫌いじゃないけど、優佳の相手としては役不足なんだよなぁ。
だってバトル開始後、早い段階で言われちゃってるんだもん。
「はい、終了」
(引用元:彼女が追ってくる)
加減を知らない碓氷優佳(苦笑)
血も涙もないぜ。
それでいいのか?堀江比呂美
2作目の『君の望む死に方』の登場人物「堀江比呂美」が本作でも登場します。
なんと碓氷優佳と友人関係にあるんですよ。
これビックリですよね。
いや、だって優佳は比呂美を苦しめた張本人じゃないですか。
前の会社を辞めて今作の横浜レアメタル社に転職してるんですけど、転職のきっかけって絶対あの事件ですよね。例のほら、あれ。
比呂美が同僚の男性をワインボトルで殴りかかったっていう、あの事件。(気になる方はぜひ『君の望む死に方』を読んでみてください)
ワインボトル片手に男性に殴りかかるって聞くと狂暴女に思われちゃうかもしれないけど、違うの違うの。
優佳の策略にハメられただけなの~。
それがですよ?
本作では友達になっちゃってるんですよ。
比呂美~、気付いて。
あんたが友達だと思ってる隣の女、ヤバイやつだよー。
ラストが怖い
第一弾、第二弾と読んできて、今回のラストが一番ゾクッとしました。
ん~、なんと表現すればいいものか。
そうだなー、シリーズのラストの印象を単語で表すと
第一弾:敗北
第二弾:暗雲
第三弾:戦慄
って感じかなー。
ラストがねー、うん、あれなのよ。
いやー、怖かった。
1作目2作目と違って今回の犯人は女。
女の復讐劇をお楽しみください。
【ネタバレあり】碓氷優佳は碓氷優佳だった
ここからはネタバレを含む感想です。
読みたくない人はそっと閉じてね。
いやー、今回も碓氷優佳でしたねー。
犯人にまっっったく興味ねーーー!!笑
早々に犯人がわかってるくせして何も言わない。
なぜなら謎解きで忙しいから。
おーい!おーい!
遺体発見から少し経つと飽きちゃって
「チッ、巻き込むなよ。帰らせろよ。」
って勢いだったのに、途中からは謎解きに夢中。
そして解いたら
「もう帰っていいかしら」
ってな具合よ。
しまいには(暇つぶしに?)比呂美の恋人探しをしちゃうしさー。
一体なんなんすか!
事件は現場で起きてるんだ!の現場にいてキューピット役っすか!
犯人が不憫に思えるくらい相手にされなかったです。
優佳としては、夏子の恋敵「姫乃」の方が気に入ってたみたいよ。
夏子より姫乃の犯罪計画の方が美しいんだって。
「ただ曖昧さを頼りにしたあなたとは、雲泥の差があります。わたしにとってはどちらでもいいことですけど、どちらかといえば、黒羽さんの計画が成功してほしかった気もします。その方が、美しいから」
(引用元:彼女が追ってくる)
なに言ってるかわかんなーい(゚∀゚)
車に乗ったのが伏見だったら助けたんだろうなぁ。ボソッ
あ、伏見と言えば、優佳と婚約したみたいですよ(笑)
伏見よ、警察に捕まった方が楽だったんじゃ・・・