就活を題材にしたミステリー小説『六人の嘘つきな大学生』を読みました。
うっひゃー!
着眼点がすごいね。
何を言ってもネタバレになりそう。
でも、
めちゃくちゃ面白かったから感想を語りたいぃぃぃ!!
スピード感がある心理戦
成長著しいIT企業「スピラリンクス」の最終選考。最終に残った六人が内定に相応しい者を議論する中、六通の封筒が発見される。そこには六人それぞれの「罪」が告発されていた。犯人は誰か、究極の心理戦スタート。
(引用元:amazonの紹介文)
最初こそゆるゆると始まりますけど、最終選考の通知が来てからはビュンビュン加速する!
頭のいいエリート大学生ですもの、途中までは「すごっ!さすが!」となっていたけれど、就職という一大イベントを前に異様とも言える密閉空間の中で心理戦が始まります。
時に鋭く!
時に滑稽に!
二転三転するストーリーに無我夢中で読みました。
いやだってさ、謎解きが終わったかと思いきやまた謎が出てくるんだよ?
「続きを~」ってなるやんか。
お門違いの心配をよそに物語はどんどん進んでいく。
裏切られたり、
怪しいと思ったとほくそ笑んだ自分が恥ずかしい!となったり、
まあ~、作者の手のひらで踊らされました。
就活生らしい悩みや憤りを表現しつつ、
告発文という爆弾を落としてミステリー要素を絡ませる。
且つ、スピード感ある心理戦は、私の心を大きく揺さぶりました。
逆転のカードを切る?切らない?
最終選考の最中に告発文が入った封筒が発見されるんだけど、あなたならどうする?
そりゃ平穏に生活してたら、ひとさまの過去を暴露するような人はほとんどいない。
でも、
5千人以上の応募者の中からたった6人に選ばれたんですよ。
プライドだってあるし、それまでの苦労だってバカにならない。
圧倒的自信があるならいざ知らず、
「自分は選ばれないかもしれない」
と不安に襲われたら、逆転のカードを切りたくもなりますよね。
と、簡単に言えるのは外側にいる人間だけ。
当事者になったらどうかなー。
日々試され評価される就職活動といった特殊な状況の中で、常に道理的な行動がとれるのかと問われたら、自信がないなぁ。
そういう自分であってほしい。
頼む、あってくれ。
あんなことはしないだろうけど「いっち抜けた」とその場を去るのは結構な勇気がいる。
ドロドロさが足りないって感想をちらほら見かけるけど、実際あの展開になったら尋常じゃない汗が吹き出ると思うよ。
就活のストレスを言語化したミステリー小説
頭パーーーン!
知らんがな(笑)
就活のストレスってハンパないと思うのね。
就職できなかったら人生終わり!みたいなプレッシャーの中で、嫌でも自分と向き合って「あれができる。これができない」と分析やらアピールやら。
挙句の果てに、ほんの数十分話しただけで不採用。
なんの罰ゲームだよって思う。
しかも判断基準がいまいちわからない。
そういう就活生のストレスをうまく言語化してるなぁと思いました。
「就活生は読まない方がいい」ってレビューが多かったけど、私は逆の意見です。
確かに生々しいし目を背けたくなる。
私は就活生でもなんでもない。
だから言えるのかもしれないけど、「実際はそんなもんだよね」となりました。
- 心理戦が好き
- 若干のあり得なさも許容範囲
- 社会的メッセージもやぶさかでない
- 二転三転する物語が好き
久しぶりに一気読みする本に出会えたわー。
いや、ほんと、ネタバレせずに感想って大変。
あなたにとって就活ってなんですか?
ぎりぎりネタバレにならないと思う↓
『将来的に何をやらせるのかは決まっていないけど、向こう数十年にわたって活躍してくれそうな、なんとなく、いい人っぽい雰囲気の人を選ぶ』 日本国民全員で作り上げた、全員が被害者で、全員が加害者になる馬鹿げた儀式です。
(引用元:六人の嘘つきな大学生)